超エリート、高収入のシンママが抱える「婚活の闇」

ライフスタイルは十人十色。おひとりさまもおふたりさまも大いに結構ですが、結婚というゴールをめがけて不幸なひしめき合いをしている男女のなんと多いことか。

今回、道場にやってきたのは、弁護士の女性だ。超名門私立大学法学部を卒業し、司法試験に一発合格し、アメリカのトップクラスの大学に入学。優秀な成績で米国弁護士資格に合格。現在は複数の会社を経営しつつ、一人息子を育てているバツイチのシングルマザーだ。容姿端麗で服装のセンスもよく、まさに非の打ち所がない。

川崎貴子は「全親の理想ともいうべき“光”って、それと同じくらいの濃い……いや、特濃レベルの影とセット。その漆黒に何がいるのかしら」とほほ笑んでいた。

ハイパーエリートの沼の底に眠る、巨大モンスターを見つけ、その怪物にトドメを刺すことはできるのか? 冒険の旅は始まった。

今回の相談者は、佐内桂子さん(仮名・35歳)。

佐内桂子さん(仮名)のスペックはこちら!
年齢:35歳
職業:弁護士
恋人:なし
交際人数:5人以上
結婚暦:1回
離婚歴:1回
結婚願望:強くある
顔:身長165cm、ふんわりした雰囲気と鍛えられたボディの癒し系風貌。目がぱっちりとしており、ぱっと見普通の会社員に見える。しかし知性のひらめきと、身に着けているジュエリーが高級でただモノではない感が醸される。現在10歳の息子がいる。

――今回の相談者は超ハイパーエリート女性だ。弁護士としての仕事をメインに、複数の会社を経営している。千代田区内の100平米超えのマンションに、10歳の息子と2人暮らしをしているという。

川崎:経歴がまぶしくて目がくらみそう。日米の司法試験両方を突破するってすごい情熱。才能もあると思うけど、幼い頃から努力をしていたのね。何か大きな目標があったの?

桂子:ありがとうございます。目標と言うのは特になく、長女だったこともあり、親から「医者か弁護士になれ」と言われて、それなら弁護士がいいかな……って感じなんです。

川崎:え? そんな感じ? 同級生と遊んだり、行事や部活に打ち込んだりすることのすべてを諦めないと、その学歴と経歴は身につかないんじゃないかしら。

桂子:確かに同級生と遊んだ記憶はないですね。友達や先生から遠くから見守られていた感じでした。特に興味もありませんでしたし、何より忙しかったので。親が塾や習い事など分刻みのスケジュールを立ててくれたので、余計なことを考える暇さえなかったんです。

川崎:ハイキャリア女性には、あなたのようなタイプは多いよね。親の期待に誠実に応え、自暴自棄になる自由もなく、前に進むしかない。それに、勉強の努力って裏切らないしね。仕事もまあそうよね。でも、恋愛の努力って裏切りの連続よね。

桂子:(ガーンという顔をして絶句している)

川崎:目から感情がどんどん失われていってるけど大丈夫? 恋愛と結婚に何があったのかしら。他人に言うと楽になることもあるから、今日はしゃべり倒して帰ってね。

桂子:ありがとうございます!なんでも話しますよ。私は大学在学中に司法試験に合格していたんです。インターンもしていたので、かなりの大手企業の法務部に就職したんです。

川崎:桂子さんの出身大学は、政財官界に卒業生が多いしね。

桂子:私はホントに“下(付属校)から”なので目をかけてもらっていました。

川崎:でもその学校に入るのは難しいよね。それこそ生まれたときから努力をしないと…。

桂子:いや、そんなことはないんですよ。私の場合、両親ともにそこの卒業生で、父は経営者、母は児童心理に詳しく、親の言う通りにしていれば、まあ結果が残せるんです。

川崎:あ! 今は両親の話は置いておこう。目から光が失われてきたから。 そうだ、桂子さんは10歳の男の子がいるのよね。でも今は独身なのよね。

桂子:はい。最初の結婚はデキ婚でした。子供の父親の男性とは、会社で知り合ったんです。彼は社長室付の社外取締役のような自由な立場でした。社長に世界中の“新しく楽しいもの”を持ってくるアドバイザーのようなことをしていたんです。10年前から電動キックボードとか、CBD(麻抽出成分)、水タバコなどが“来る”と言っていましたね。彼は15歳年上で当時39歳。私に対して「かわいいね」とか「面白い子だね」といじってくれて、好きになってしまったんです。

川崎:そうか。桂子さんは一目置かれちゃうから、同年代でフラットに付き合う人は少なかった。

桂子:はい。私、彼に初めてあだ名をつけてもらったんです。それで、好きになってしまった。それまで恋人はいたのですが、みんなよそよそしかったし、何をしてもつまらなかった。でも彼は違う。楽しいことへの探求心がハンパなく、私の方がのめり込んでしまい、気づくと息子が授かっていた。

川崎:それで結婚。結局話を戻してしまうけどご両親はなんと?

桂子:激しく落胆していました。あんなに落ち込むとは思わなかった。彼の最終学歴は美大中退。父は「高卒ごときに、桂子を嫁にやるとは」と肩を落とし、母は「あなたを医者に嫁がせるのが私の夢だった」と泣かれました。結婚式も大学中退の男とデキ婚したということで、身内だけで小さく行いました。

川崎:でも式はやるんだ。

桂子:はい。親戚の手前やらなくては。小さくと言っても、50人規模です。私の側のテーブルはお通夜のような雰囲気。彼のテーブルははっちゃけていて、その温度差がいたたまれなかった。私も親に申し訳ないことをしてしまったという罪悪感があった。

川崎:好きな人と結婚して幸せなのに、親や世間とも両立させようする。責任感が強い長女の“あるある”ね。

桂子:ウチの親族が、彼側のテーブルにドン引きしている姿に、彼も気付いて、「俺、嫌われているよね」って。

川崎:そういう「楽しいことに命がけ」みたいな男性は、いつもみんなからチヤホヤされている。だから、自分を嫌う人と一緒にはいたくないと思うと、「もういいや」とすべてを放り出す。

桂子:……なんでわかったんですか。そうなんです。彼は「自分を拒絶する人」をスッパリ切る。彼のことを好きな人はたくさんいるので、嫌いな人はモブ(個性ない群衆)と化すんですよね……もはや嫌いとか好きとか感情を抜けて、興味がなくなってしまうんです。あの結婚式から、彼は私に無関心になったことがわかったんです。

川崎:あなたが親を尊重していることを察知しただろうしね。

桂子:はい。まさにそうなんです。彼は「できることはするよ」と言い、結婚式の翌日から距離を置かれました。私の親が言う通り「2年間は子育てに専念する」という約束もサポートしてくれて、過分な生活費もくれた。息子が生まれてからは関係が改善したのですが、息子に対しては、親も干渉してきます。まだ脳が柔らかいうちに、特定の音楽を聞かせたり、一定の教育をするなど、早期教育をしなければならない。

川崎:タスクが多すぎるね。仕事どころではない。

桂子:だから2年間の専業主婦なんです。息子のために分刻みで行動していました。そのうち、私は親と彼の間に挟まれて、メンタルを病んでしまった。そのとき、親は彼に離婚を打診。私不在で離婚が確定していたのです。

川崎:あああ、また親だわ…。「娘の人生」なのにねぇ。

桂子:彼から「よくわかんないけどさ、離婚するって」って記入済みの離婚届けを出されたときは、ショックを受けるとともに、ホッとしました。

川崎:名家とされる家にあるよね。不穏分子は徹底的に排除するという。本来なら、結婚前に相手の身辺調査をするのに、あなたは妊娠ありきだった。

桂子:彼は私もびっくりするくらいの養育費と慰謝料を提示してきた。

川崎:慰謝料? 養育費だけじゃないの?

桂子:私、ホントは彼と別れたくなかったんです。どうしても諦めがつかなくて、探偵に依頼。他に女性がいたら、気持ちにケリをつけようと。

川崎:切ない。

桂子:それで、彼が別の女性と半同棲しており、石垣島に旅行をしている証拠が出てきた。私に見せたことがない笑顔で、楽しそうにしている。それで「これで私は諦められる」と思って泣きました。私は彼を好きだったし、愛していたんです。それで、その証拠を引き出しの中にしまっていたら、親に見られた。そこで親が彼に慰謝料の交渉もしたのです。

川崎:親の愛もそこまでいくと、執念。あなたに幸せになってもらいたいという気持ちは伝わるけれどね。しゃしゃり出てき過ぎだよね。でも、実親のフォローがあった方が、面白い事大好き男といるより育児は楽だったでしょう?

桂子:本当にそうなんです。結婚生活2年で離婚し、母と息子と渡米。環境を変えたかったんです。母がシッターしている間に、ロースクールに通い米国の弁護士試験に合格。父も時々遊びに来てくれて楽しかったですね。

川崎:両親はあなたにかかりっきりなのね。ねえ、ところできょうだいはいるの?

桂子:3歳下に妹がいるのですが、高校時代から反抗を繰り返して、今はジャズシンガーやスピリチュアルアーティストとして活動しています。

川崎:そして、あなたは妹の分まで頑張ろうとしている。

桂子:はい。帰国していろいろ落ち着いた30歳ごろから仕事が楽しくてたまらなくなりました。今は国際的なMBO案件や商標、知的財産などの案件を担当して、充実しています。個人的に会社を2つ立ち上げていて、それらも順調です。息子も私の母校に入学し、毎日楽しく通っています。

川崎:本当に今まで頑張ってきたのね。経済的にも心配はない。ところでこれからどうしたいの?

桂子:また結婚したいと思っています。今、すごくさみしいんです。

川崎:わかるわ。

桂子:わかってくれるんですか!? 私がこのことを言うと、「贅沢な悩みだ」とか「なんでも持っているくせに生意気だ」と吐き捨てられるのですが。

川崎:それは他人からの目線だから。あなた自身は愛し愛されたいと思っている。

桂子:今度こそ、親の望む医師と結婚したいと思って、友達に紹介を頼んでいるのですが、あまりいい人がいなくて。「仕事している人はちょっと」とか「子供がいる人はちょっと」とか断られ続けているんです。

川崎:は? ちょっとごめん。ここは「親の望む職業の男性(医師)」ではなく、あなたが好きかどうかじゃない?

桂子:1回目の結婚で「失敗」しているので、私はもう親を失望させたくない。

川崎:その気持ちはわかる。とてもよくわかるよ。でも、あなたの人生は、あなたのものであり、親の人生ではない。だから、そこは切り分けないと。それに、1回目の結婚は失敗ではないと思うよ。息子さんも授かり、あなたは彼を愛し、愛されていた。

桂子:そうですかね。最近、息子に「ママは全然なってない」とか「パパみたいな大人になってはダメだ」みたいなことを言われるんです。そして息子は男らしくありたいと、10歳にしてジムに通い、勉強をしている。

川崎:あなたが教えているの?

桂子:いや、私が仕事で忙しく、コロナ禍でも海外に行かねばならず、隔離もあったりして、子育ては両親がメインです。

川崎:そうか。育児に協力的な両親っていいけれど、距離感を考えるのも大切だよね。これは働く母の多くが悩んでいることでもある。でもホントに両親との関係が密だよね。

桂子:同じ建物に住んでいるんです。ウチは代々の地権者で、4年前にもともとの実家を立て直して、ビルにしたんです。その時に、住居用のフロアを作り、その最上階を両親が、そしてその1階下を私が購入しました。

川崎:ねえ、千代田区でしょ? 数億円はくだらない物件じゃない。

桂子:支払いましたよ。母に「あなたはシングルマザーで、一国一城の主なのだから、このくらい買えないと、生きている意味がない」と言われました。

川崎:次々に繰り出される親の呪いに泣ける…ところで、お母さんにホメられたことってある?

桂子:ないです(即答)。母は児童心理の専門家で、「結果を出せる子」と「出せない子」の差異を知っていた。私は「出せる子」ですが、「出せない子」の妹は、何をしても褒められて育っています。

川崎:そっか。お医者さんと再婚するか否かは置いといて、とりあえず、ご両親から離れることはできないのかな?

桂子:それは元夫からも言われていました。友達や同僚も指摘するのですが、息子もおばあちゃま(桂子さんの母)が好き。母がいるからこそ、付属の小学校に入学できたところもある。

川崎:そうか。じゃあ、桂子さん、あなたの好きなタイプの男性を教えて。どんな人が好きなの?

桂子:ジャングルポケットの斉藤慎二さん、さかなクンさん、若い頃の西郷輝彦さん、ムロツヨシさん…目力がある眉毛が濃い人が好きなんです。

川崎:即答!いいじゃない! 顔の好みが明確というのもいいわね。元夫も同じ系統?

桂子:はいそうです。

川崎:じゃさ、そういう人と恋愛してみるのはどう? 肩書とかを考えずに、自由にアプローチする。

桂子:でもお医者さんじゃないと……

川崎:それは両親の願望でしょう? いい、親はあなたより先に死ぬ。そのときに、「親のために生きていたんだ」と気付いても、虚しさしか残らない。これからは、あなたの人生を生きるの。両親の愛と教育があるからすぐには難しいかもしれない。でも、自分の人生は自分のモノだからね。

桂子:(無言で泣いている)そうか。私は自分の人生を生きていい。

川崎:そうよ。両親は全身全霊であなたを愛しているかもしれないけれど、支配的な要素も多分に含んでいる。そこから抜け、やりたいように生きることが今のあなたには大切よ。

桂子:そうかもしれません。このままでは息子にも私と同じ人生を歩ませてしまうことにもなる。

川崎:その可能性は過分にある。だから、そろそろ親離れ・子離れするときじゃないかしら。

桂子:でも、息子は母に懐いているし、家のローンもあるし……

川崎:いろいろあるけれど、選ぶのは自分自身。少しずつ、できるところから始めてみたらいいんじゃないかな。きっとあなたはできると思う。いずれ親は死ぬ。そう考えると、考え方も変わるんじゃないかな?

桂子:そうでした。私、恋愛する前に親離れが必要だったのですね!!! やっと課題がクリアになりました。ちょっとずつ考えを変えて、親との距離を取って、これからの人生を考えてみたいと思います。やっぱり今のままではさみしい。女として……一人の人間として愛してくれる人と恋愛したいと思います。

川崎:自分の人生を生きてね。応援しているわ。

Text:Aki Maekawa

Photo:Yuji Hirose

引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/0e18c3b89abcfda238ae8b52182c4ea0b55c1e67

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