コロナ下の切ない婚活 マスクを外せるのは90分で1度だけ 減る出会い「落ち着くまで待ってられない」

 長引くコロナ禍でリモートワークの推進や、外出・飲み会の自粛などが続き、結婚や恋愛の場面にも大きな影響を及ぼしている。男女が出会い、知り合う機会も減り、その場を提供している婚活パーティーやお見合いも感染防止のため開催しづらい状態が続く。結婚を望む人々は、どんな思いで過ごしているのか。(社会部・山中由睦)

「婚活サポートおきなわ」の1対1のお見合いに参加した男女=沖縄県北中城村美崎
コロナ禍の婚活

 8月下旬の昼すぎ、沖縄県北中城村の居酒屋に男女が集まってきた。婚活支援企業「婚活サポートおきなわ」(同村)が主催する少人数のお見合いイベントに、40代の男性7人、女性5人が参加した。

 6月までは公共施設を中心に開いていたが、新型コロナウイルス感染急拡大で使用禁止となった。代わりにコロナの影響で休業中の居酒屋を借り開催された。

 感染対策のためルールも多い。(1)4人以上が使えるテーブル席は2人まで(2)飲食禁止(3)移動は最小限(4)マスクは常に着用(5)時間は従来の半分の90分間-。交代しながら向かい合った男女が静かに会話するだけ。お酒を飲みながら、にぎやかに話すことはない。

 その上、マスク着用で互いの顔も分からない。45分が過ぎた頃、マスクを外す時間が設けられた。司会者の「よろしくお願いします」の声に合わせ、参加者らは無言で会釈。マスクを外せるのは、90分間でこの一度きりだ。

■減る出会い 婚活に活路

 新型コロナウイルス感染拡大で多くの制約がある中、婚活サポートおきなわは毎月5回程度、少人数のお見合いを開催し続けている。大規模な婚活パーティーはできず参加者はコロナ禍前の10分の1以下だが、それでもコンスタントに応募は来ているという。

 その背景を、同社の大窪一弘代表(41)は「コロナ禍であらゆる出会いの手段がないため」と分析する。外出自粛などでコンパや飲み会がなくなり、テレワークで社内や取引先との接点も減少。結婚式や2次会も取りやめになり、帰省や同窓会などで同世代が集まる機会もなくなった。

 それを受けてか、婚姻件数も全国で減少している。厚生労働省によると、昨年の婚姻件数(全国)は52万5490件(概数)で戦後最少。コロナ禍前の2019年より1割以上、また県内でも1割近く減っている。

 出会いの場がなくなる中で、将来に不安や焦りを感じる人が、婚活したいと同社を訪ねてくるという。

 うるま市の会社員女性(28)は8月下旬、1対1のお見合いに初めて参加した。「焦りがある。コロナ禍でなぜ婚活?と思う人もいるかもしれないが、コロナ禍がいつ落ち着くかなんて分からない。待っていられない」。相手の男性(30)=本島北部=は感染拡大が婚活の動機という。「いつまでも若くはない。コロナで自宅療養する人を見て、病気になった時そばに誰かいてほしいと、強く思うようになった」と明かす。

 また、経済的な困窮も婚活の理由の一つとなっている。婚活サポートおきなわでは、サービス業で働く女性の応募が増えたという。多くは非正規雇用で観光関連や小売業、飲食店などで働いていたが、コロナ禍で収入が減少したという。

 大窪さんは「生活を安定させたいのだろう。非正規の女性たちも追い込まれている」と語る。今後も少人数でお見合いイベントは続けるつもりだ。「ただ『寂しい』などのふわっとしたものではなく、みんな真剣。一般には結婚に適齢期もあるとされ、婚活は不要不急ではないと思う。しっかりサポートしていきたい」

引用元:https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/829851

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