結婚相手との「偶然の出会い」を期待する人が犯している「致命的な勘違い」

「自然な出会い」に対する2つの誤解

 一方、婚活を介しない「自然な出会い」に対して、過剰な期待が寄せられているのも事実だ。私が婚活相談を受けてきた中で、未婚者が自然な出会いに対して抱いている「2つの誤解」がある。

<自然な出会いに対して抱かれている誤解2つ>

  1. 自然な出会いとは、全くの偶然に恋人と知り合うことである
  2. 自然な出会いなら、受け身のままでいても付き合える

 まずは、この誤解をひとつずつ解いていこう。

 誤解1:自然な出会いとは、全くの偶然に恋人と知り合うことである

 少し古いデータだが、国立社会保障・人口問題研究所が2015年に行った調査では「職場・友人の紹介・学校」経由の出会いが、成婚者の7割を占めている。これだけを見ると、日本人の大半は自然な出会い経由で結婚しているように見えるかもしれない。

 たとえば、学校で知り合って好きになり、そのまま告白して……というのは、まさにトントン拍子の「自然な出会い」だろう。

 しかし、全体の30.9%を占める「友人の紹介」経由の出会いは、自然と言い切れるだろうか。友人へ「そろそろ結婚したいなと思ってて、○○に当てはまる人を探してるんだけど」と相談する時点で、それはもはやプチ婚活である。

 同じく、職場で上司が引き合わせてくれる出会いは、自然な出会いというより「見合い」そのものだろう。職場経由での出会いは、職場恋愛とお見合いが合算された数字だ。

 また、よりいっそう自然な出会いに当てはまると人が思うのは、「行きつけの場所で出会う」など、より偶然性の高い出会いだ。これなど、もともと行きつけの店がなければ出会いのスタートラインにすら立てない。仮に「一生懸命、行きつけの場所を作って出会う」としたら、それはもう自然といえるだろうか。このように、自然な出会いとは案外まれなものである。

 誤解2:自然な出会いなら、受け身のままでいても付き合える

 人がなぜ「自然な出会い」に惹かれるのか。答えのひとつに、婚活のように自分が頑張らなくてもいいから……というイメージがあるだろう。だが、実際には恋愛こそ努力が必要だ。

 たとえば、行きつけの店で気になる人が出てきたとしたら、まずは店主に口説いてもいいかさりげなく許可を得てからになるだろう。そして、さりげなく会話を振って盛り上げ、相手に「楽しかった」と思ってもらわねばならない。

 運良く連絡先を交換できたら、次はデートのお誘いだ。単価3,000~5,000円くらいの、ちょうどいい個人経営のイタリアンなど予約して、清潔感のある服を新調して、ヘアサロンで髪を整え、当日振る雑談の内容なんか考えておくか……といったところから準備が始まる。

 当日までに気持ちが冷めないよう、お相手とは適度なペースでやりとりを続け、好みや苦手なものを聞き出してデートコースの参考にする。さらに、自分の相手としてマッチするかどうか、価値観も引き出したい。たとえば、デートでは奢られたい派だろうか、それとも割り勘派か。暗に探っておかなくては……。

 そう、自然な出会いからのデートは、そもそも果てしなく面倒なのである。マッチングアプリが生まれた背景には「恋愛結婚は疲れるから、効率的な出会いが欲しい」という需要があったはずだ。それがいつしかマッチングアプリが当然のものとなり、「婚活は疲れるが、自然な出会いは楽そうだ」と、隣の青い芝が逆転したのである。

 自然な出会いこそ、コミュニケーションコストが莫大になる。その段階をいくつかすっ飛ばしてくれるのが、婚活なのである。自然な出会いは、婚活よりも面倒だ。

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