婚活アプリの詐欺師 嘘バレても「本気だった」

婚活アプリを通じて出会った男から結婚詐欺被害を受けた本村真里さん(仮名)=9月、大阪府内

 一生を共にする伴侶を真剣かつ効率的に見つけたい-。新型コロナウイルス禍で対面での出会いの機会が減る中、利用者が急増しているのが婚活アプリだ。幸せをつかむ有効手段になり得る一方、サイバー空間には純粋な人の思いを食い物にする悪いやからも潜む。大阪で会社勤めをしている30代女性は、素性を噓で塗り固めた男と1年ほど交際し、約350万円をだまし取られた。「絶対に許せない」。男に心を預けてしまったことを悔やみ、怒りをぶちまけた。

高収入で高学歴

 「結婚したら大きな犬を飼いたい」「車はお互い1台ずつがいいですね」

 30代の本村真里さん(仮名)は令和元年夏、将来の家庭生活を思い、ある婚活アプリに登録。男性会員のプロフィルを眺めていたところ、一人の男の自己紹介が目に留まった。

 「具体的な結婚観を持っている人なのかな」。ネットを通じた出会いに多少の怖さやためらいもあったが、思い切ってメッセージを送った。相手は、川上裕太郎(仮名)と名乗る26歳の男。東京の有名私大卒のITプログラマーで、年収は800万~1千万円としていた。

 婚活アプリには女性が無料のものもあるが、真里さんが利用したのは相場よりもやや高い月額利用料約5千円のアプリ。「結婚に真剣な人が多くいるだろう」と考えてのことだ。

訂1_Gコロナ禍もありネット系婚活の利用者が増えている

 リクルートが運営するブライダル総研が全国の20~49歳の男女約5万人を対象にした「婚活実態調査」によると、相談所やパーティーなどを含む婚活サービスを利用したことがある人の割合は平成29年以降増加。アプリをはじめとしたネット系に限ると、4年前の9・1%から令和3年は21・8%にまで伸びた。出会いの場としてのパーティーや会食の機会が、コロナ禍で減ったことも影響したとみられる。

実は妻子持ち

 真里さんがメッセージを送った川上は、いわゆるモテるタイプの見た目ではなかったが、メッセージをやりとりするうちにひかれ、初めて会った日に結婚前提の交際がスタート。LINEでの会話や月数回のデートが、真里さんの生活に花を添えた。

 ただ、川上は交際開始からほどなく、さまざまな理由をつけて真里さんに金を無心するようになる。

 「飲酒運転が会社にばれて降格し、給料が減った」「仕事用のプログラミングソフトを買う必要がある」「ネコを飼いたい」-。

 将来の結婚相手を支えようと貯金をはたき、消費者金融にまで手を出したが、一向に返済のめどが立たない。工面した総額は約350万円にも上った。

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