44歳・大学准教授が「婚活」にハマってわかった、婚活市場の「見えない歪み」

出会う異性を商品として比較考量していくなかで、このような人たちと出会って、「理想の結婚相手」の条件を無意識のうちに上げていくという、欲望のエスカレーションも生じます。この、異性の商品化と比較考量、欲望のエスカレーションという婚活市場の力学を踏まえると、私が経験した「フラれ」方も納得できます。

相手が自分の配偶者としてふさわしいかどうか判断する材料が欲しいのであって、そこで「不適」 と判断したら自分のデータを提供する必要はありません。楽しく会話できた相手でも、「配偶者として不適」と判断したら、その後も関係を続けるのは無駄です。欲しい結婚相手のスペックとは異なる異性が何人も現れたら、「このサービスは出来損ないだ!」とキレたくもなる……という訳です。

成功する婚活戦略はあるのか?

2020年代に入り、婚活を支援する当事者から「婚活そのものが未婚化や晩婚化を生み出している」という悲鳴に似た問題提起と、「現実を直視し、身の丈にあった婚活をしよう」という提言が繰り返し行われるようになりました。

とはいえ、時間とお金が許す限り配偶者探索を続けられる婚活市場という空間で、全ての婚活参加者が「選り好み」を自制していくことは、ほぼ不可能でしょう。むしろ私は、婚活市場が生み出す力学を踏まえた上で、自分がいかに比較優位を持ち、他者と交渉できるのかという視点から戦略を考えていくほうが建設的であると考えています。

例えば婚活パーティーでは、年齢はおおむね5歳刻みで参加条件が区切られます。例えば25歳〜30歳までが参加できるパーティーで25歳と29歳の女性参加者がいた場合、25歳の女性の方に男性参加者の申込みが集中しがちです。

しかし、29歳の女性が29歳〜35歳までが参加できる婚活パーティーに出席した場合、参加者の中で相対的に最も若い彼女に男性からの申込みが殺到し、「選べる」立場を得やすくなります。これは男性にも同様のことが言えるでしょう。

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