コロナ禍で出会いは“マッチング”に移行? 一方で「性目的」「写真詐称」トラブルも…利用者に聞いた経験談

11月特集は「夫婦のカタチ」。結婚もまずは出会いからだが、職場で気になる人がいる、共通の友人から紹介…などのパターンを思い浮かべることも多いだろう。

そんな常識が変わってきているようだ。恋人探しにおける出会いが、コロナ禍で現実社会から「マッチングサービス・アプリ」に移行する動きがあるという。

この流れは、消費者動向などの調査企業・MMDLabo(東京・港区)が運営する、MMD研究所が2021年9月に行った、マッチングサービス・アプリの利用実態に関する調査で判明したもの。

スマートフォンを所有する20歳~49歳の独身の男女1万人のうち、恋人探しをしたことがあると答えた人を対象に、新型コロナウイルスによる1回目の緊急事態宣言の前後で、出会いの手段や場所がどうなったのかを複数回答で聞いた。

すると、2020年3月以前は「職場や学校での出会い」(40.1%)が最も多く、次いで「友人や家族からの紹介」(39.6%)、「マッチングサービス・アプリ」(32.7%)だった。それが2020年4月以降では「マッチングサービス・アプリ」(42.6%)、「職場や学校での出会い」(29.4%)、「友人や家族からの紹介」(24%)と入れ替わったのだ。

1回目の緊急事態宣言前後での変化(画像提供:MMD研究所)

そして、マッチングサービス・アプリを知っていると答えた人のうち、実際の利用経験率がある割合は78.2%にものぼった。過去のデータと比較すると、2019年が30.2%、2020年が57.1%、2021年が78.2%と、年々増えているという。

マッチングサービス・アプリの利用経験率(画像提供:MMD研究所)

マッチングサービス・アプリの利用率が明らかに増えているのだ。こうした流れはどうして起きたのだろう。まずは、MMD研究所の担当者に聞いてみた。

手軽な恋人探しの一つの選択肢となった

――なぜ、マッチングでの出会いが主流になった?

コロナ禍による外出自粛などで、リアルな生活での恋人探しに制限が生まれたことが影響したと思われます。ショッピングや飲み会がオンラインに移行したように、「自宅でできる恋人探しの場所」として選ばれるようになったと考えられます。

運営企業が本人確認や安全面に力を入れているのも大きいです。最近はLINEなどを直接交換しなくとも、アプリを介して動画でお話できるサービスもあります。出会い系サイトのようなものとは異なる、出会いの一つの選択肢になったと思われます。

――他の出会い方にはないメリットはある?

自宅で簡単に利用できる手軽さがあり、プロフィールやコミュニティから、自分と趣味が似た人を探せることでしょうか。会う前に相手の情報が分かるので話題づくりにも役立ちます。実際の利用者は、条件面などの検索機能を重視している人も多いです。

――実際の利用者に年齢層などでの傾向はある?

2021年の調査は20~49歳が対象で、マッチングの利用者は35歳以下の利用が多い傾向にありました。小さな頃からスマホやSNSなどに触れている世代ですね。想定ですが、これより上の世代はネットでの出会いに抵抗感があるかもしれません。

――コロナ禍で恋愛や結婚への意識に変化はある?

出会いから付き合うまでの期間が短くなっている印象があります。2021年の調査では、マッチングの利用を辞めた人に理由を聞いていて、そこでは「やりとりが面倒になったから」という回答が最も多かったです。また、マッチングの利用目的を聞いた質問で「婚活」と答えた人の割合は、2019年は約38%でしたが、2021年は約48%に増加。相手を選ぶ際に重視する点を聞いた質問では、2019年は「顔」がトップでしたが、2021年は「価値観」がトップでした。結婚観として、長く一緒にいたい人を探す方が増えたと思われます。

――マッチングで結婚するカップルは増えている?

聞き取りの仕方などが違うので一概に比較できませんが、マッチングで「結婚した」と答えた人の割合は、2020年の調査だと全体の5%以下でしたが、2021年は約10%いました。マッチングの利用者数が増えていることからも、結婚に至るカップルも増えていると考えられます。

――出会いから結婚までの期間はどれくらい?

結婚の具体的な時期は分かりませんが、2021年の調査で、結婚した方にマッチングの利用期間(有料登録の期間)を聞いたところ、「3カ月~半年未満」が約33%で全体の最多でした。結婚を視野に入れて相手が見つかるまでの期間だと、こちらが当てはまると思います。※2番目に多かったのは「半年~1年未満」で約20%

――マッチングで結婚することのメリット、デメリットを教えて。

メリットは、年齢や趣味などで自分に合う相手を探せることです。趣味が同じなら結婚後も一緒に楽しめますね。また、センシティブなことを開示しやすい環境にもあります。例えば、離婚歴がある、子どもは望んでいない…などは直接だと打ち明けにくく、後から分かると不信感にもつながります。マッチングでは自己紹介欄などで間接的に開示できますし、開示してくれる人もいます。同じ価値観の人を見つけやすいと思います。

デメリットは、親世代に相手を紹介するときの反応でしょうか。年齢層が高いと「自然な出会いが美徳」のような価値観もあります。もう一つが相手の交友関係が見えにくいところ。共通の知人などがいないので、結婚してから交友関係が広く、家族の時間を作ってくれない…という可能性も考えられます。ここは見えづらいところですね。

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