結婚を損得だけで考える人に決定的に欠けた視点

 ④で自分が頑張って全問正解すれば最大6.7万円の報酬を獲得できますが、可能性からいえば、2人とも全問正解する場合もゼロではありません。

 その場合、③であれば2人とも10万円の報酬となります。期待値で考えれば実は③を続けるほうが正しい損得勘定であるともいえます。④を選んだ人の本心は、合理的な損得勘定ではなく、「他人の失敗やミスで自分が迷惑をこうむるのは勘弁してほしい」という感情なのです。

 多分、1回目で相手が全問正解者なら迷わず③(今まで通り二等分での報酬を受け取る)を選んだことでしょう。言い方を変えれば、④(自分の正解した分だけの報酬に切り替えることができるが、1問当たりの報酬は3分の2とする)を選ぶ理由は、「たった1問しか答えられない人とは組みたくない」という不快感情なのです。

 そんな不快な感情を与えられるくらいなら、減額されたほうがまだマシというわけです。つまり、④選択者は「損得勘定ではなく損得感情で動く」気質があると考えられます。金銭的には損をしていますが、感情的にはむしろ得しているという理屈になります。

 実際、多くの人は無意識に、「自分が損をしてでも気に入らない人間を得させたくない」という損得感情で行動をしています。これは、経済学者西條辰義氏をはじめとする世界の多くの研究者が実験によって導き出した「スパイト(いじわる)行動」というものです。ただし、配偶関係別に比較調査したものは、おそらく私がはじめてではないでしょうか。

 もちろん、この調査だけをもって、既婚より未婚のほうがスパイト行動率が高く、その中でも40代未婚女性が最も高いと結論づけられるものではありませんが、④を選択した人の性格特性をクロス集計すると興味深い結果も出ました。

■2人の合計正解数をあげる過程を喜ぶことが結婚

 ③と比べて④の選択者は、自己有能感が高く、仕事は能力主義を好み、何か困りごとがあってもまずは自分でなんとかしようとする傾向が強い「人に頼らない人間」でもありました。これはいわゆるソロ耐性度とも一致します。

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