「婚活疲れ」に悩む男女たち…なぜ、相談所の「アドバイス通り」にやってもダメなのか

 アプリや結婚相談所経由の「恋活・婚活」が当たり前となった現代。手軽に自分の身近な範疇を超えた人物と出会えることができる反面、それゆえに、いわゆる婚活疲れになってしまう人も多数いるといいます。

 そんな現在を背景に『彼に、思っていることを言えないでどうするの? 』著者の嶋かおり氏と、『恋愛マッチング方程式』を刊行した高須美谷子氏が対談。仲人というおたがいの立場から、婚活うつに陥らないための秘策を語っていただきました。(構成・文:遠山怜)

「婚活うつ」が増えているワケ

 高須:ここ数年、婚活疲れという言葉を耳にしますが、その実感を仲人としてひしひしと感じています。嶋さんはいかがですか? 
 嶋:はい。私も同感です。マッチングがうまくいかず婚活疲れに陥る人が増えていますよね。

 高須:「婚活うつ」という言葉が世の中にありますが、文字通り婚活疲れを「うつ病」「抑うつ」の症状として取り扱う、心療内科・精神科もあるぐらいです。それぐらい増えています。

 よく、「受験でノイローゼになってしまう・うつになってしまう」学生がいますが、それと同じ現象でしょうか。でも、私個人としては婚活は高校・大学受験より難易度が高いと思います。

 嶋:これは結婚相談所の話になりますが、なかには「婚活は受験と同じだよ」と言って婚活を始めさせる所もあるんですよね。

 見た目をよくして、マナーはこうで、これを喋ってはいけないなど、AO入試と同じように相手に「話す・行う」OK項目・ NG項目を決めて婚活者を教育するんです。これは受験生を合格させるやり方に近いですよね。でもこれに、決定的に欠けているのは受験と婚活は「似て非なるもの」という視点なんです。

 高須:どういうことでしょうか? 
 嶋:受験は自分が勉強を頑張って一律の基準を越えれば合格する、自分自身の戦いですが、婚活は相手あっての話ですから。いくらこれが合格ラインだと言われても、相手の性格や特徴・好みに伴って「合格ライン」なんて簡単に変わってしまうわけです。

 高須:確かにその通りですね。婚活はお見合いした相手によりけりですし、実際のところ正解なんてありません。たとえ言われた通りのことをしても、絶対に婚活がうまくいくとは限りませんし、すべての人から合格点をもらえる人なんてこの世にはいません。

 嶋:拙著でも書かせていただきましたが、多くの人にモテるために「嘘と定型文で自分を固めて勝負する」ことは、恋愛というフィールドでは通用しないと思います。

 本音を言わず、婚活の「市場」に引きずられて自分を最適にパッケージングすれば、結婚はできるかもしれませんが、結婚生活が長続きするとは限りません。

 自分の人間性をお相手は知らず、またその逆も然りで、結婚後に相手を知っていくことが幸せにつながる場合もありますが、知って幻滅…なんてこともあります。その確率はフィフティー・フィフティー。まさに賭けです。

 就活も本来はそうですが、最低限のマナーや心配りは残しつつ、やはり本音や自分の実際の姿を出した方が良いと思います。自分がどんな人で、相手に自分のどこが合うのかは本音を出さないとわからないことです。見た目は所詮、見た目、偽りは偽りでしかありません。

 高須:結婚相談所での出会いの場合、たいてい、ホテルのラウンジで顔合わせするのですが、この設定がさらに緊張させるようです。慣れていらっしゃる方ならばともかく、かしこまった場では自分の本音を出しづらいし、対面で座るから、まるで面接しているみたいに感じてしまいます。

 嶋:婚活界隈には「婚活を諦めた頃にスッと良い人が出てきて、すんなり結婚できる」なんてジンクスがありますが、それは結婚をいったん諦めると本音で自然体で過ごせているからだと思います。

 そうするとその人本来の良さと気楽さに引き寄せられて、人がかえって集まってくる。ジンクスは案外、本質を突いているのかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です