自治体リポート【29】入善町 婚活応援事業/官民共同で支援強化

3月13日に開くボードゲームを楽しむ婚活サークルの準備をする町職員と世話やき隊員=24日、町役場

■食事券など提供も

 入善町は、独身男女の縁結びを手助けする婚活応援事業に頭を悩ませている。工夫を凝らした各種イベントを開いてきたが、成婚に至ったのは7年間で12組にとどまる。男性参加者の固定化やコロナ禍による制約など課題は多い。町は2022年度、成立したカップルに食事券を提供するなど支援を拡充する。企業との連携強化も予定するなど、あらゆる手で打開を図る。

 「結婚したい…」と悲痛な顔でつぶやく女性に、男性が爽やかに呼び掛ける。「そんな君は入善町においで」。動画投稿サイト「ユーチューブ」で、婚活事業への参加を募る町の動画だ。職員が出演したユーモラスな映像には、町の並々ならぬ熱意がにじむ。

 町が婚活応援に乗り出したのは15年度。結婚・子育て応援課を新設し、「それ行け!結婚プロジェクト」をスタートさせた。飲食を伴う婚活パーティーや、複数の異性と個別で対面するお見合い会など、イベントの数や種類を増やし、参加者の間口を広げてきた。

 参加者が増え、事業が浸透してきた一方、課題も山積している。その一つが、男性参加者の顔ぶれの固定化だ。固定化は女性参加者の減少につながるため、町はウェブ媒体を活用するなどして男性の新規開拓を目指す。

 町によると、これまでに223組のカップルが誕生した。マッチング率は比較的高いが、成婚まで至ったカップルは12組と少ない。

 町は毎年、婚活応援事業に約500万円を充てている。町内には成婚数を踏まえて費用対効果を疑問視する声があり、町議会からは民間に委託してはどうかという意見も出ている。

 コロナ禍も逆風だ。自治体などが開く婚活イベントは休日が多く、町は特産のカキを味わえるパーティーなど、地元の強みを生かして差別化を図ってきた。だが、感染拡大で思うように開けない状況が続いた。マスクの着用も、男女の表情を見えにくくし、交際への発展を阻んでいるという。

 逆風の中、町は20年度から成立したカップルの交際を支援するフォローアップを開始。以来、交際が長続きする傾向がある。

 21年度は、高い成婚実績を誇る南砺市のボランティア組織「なんとおせっ会」を招いて研修会を実施。町職員や婚活応援に協力する「入善世話やき隊」がスキルを磨いた。

 22年度は、参加者のスキルアップに取り組む。民間の講師がパーティーに先立って、第一印象が良くなる服装や振る舞いなどをマンツーマンで指導する。

 さらに、成立したカップルには、町の飲食店で使える1万円分の「カップル応援券」を送り、交際継続を後押しする。3月13日には新たに、食事無しでも盛り上がるボードゲームを楽しむ婚活サークルを開く。

 町は、婚活応援は採算面を考えるとビジネスとして続けるのは難しく、行政がやるべきだとの姿勢だ。今後、イベントを社員に周知してもらうなど地元企業との連携強化も視野に入れる。

 結婚・子育て応援課は「人材定着のため、『社員に身を固めてほしい』というのが本音の企業も多い。官民で思いを共有し、応援の輪を広げたい」と話す。

■県・市町村が連携を

 入善町は結婚から子育てまで、切れ目のない支援を打ち出している。婚活応援はその大事な入り口だ。かつては住民が縁談を取り持つことも多かったが、次第に薄れたという。公費を投じる婚活応援には費用対効果の面から否定的な声もある。ただ、少子化が進み、地域の縁結び機能も低下する中、独身男女が頼る支援の一つになっているのは間違いない。

 濃淡はあるが、県内の多くの自治体が婚活応援に取り組み、同様の悩みを抱える。課題の共有やイベントの合同開催など効果的な取り組みを広げられるよう、県や市町村の連携が必要ではないか。(高野由邦)

引用元:https://webun.jp/item/7830285

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