コロナ下で、「結婚した人」と「できなかった人」を分けた意外な事情

 空前絶後。日本の婚姻件数を表すなら、こんな表現が似合うだろう。2020年の人口動態調査確定報による婚姻件数は、52万5507組まで減少し、前年比12%減となった。2021年はさらに減少しているとの速報もあり、今後はさらに婚姻件数が減るものと思われる。

 なぜ、こんな結果が出ているのか。「コロナで出会いが減ったから」と片付けるのは簡単だが、ことはそう簡単ではない。コロナ前から、日本は「非婚国家」への道を歩んでいたからである。

結婚しなくなった日本人

 日本で問題になっている「少子化の原因は、非婚化である」という事実は、あまり知られていない。内閣府の調査によると、1970年代をピークに婚姻件数は急激な減少を見せ、2019年は60万人まで落ち込んだ。

 そもそも結婚しないから、子供を産まない。逆に、結婚した夫婦はそれなりに子供を作っている。日本では婚外子を作る選択が一般的でないこともあり、結婚しない=子供を産まない、に直結してきた。

 ではなぜ、結婚しないのか。恋愛をしないからである。ノマドマーケティング株式会社の調査では、お見合い結婚が全体の13%であり、大半は恋愛結婚から成婚しているとわかっている。つまり、大半は恋愛結婚だ。そして、恋愛をしている男女は、とても少ない。

 リクルートブライダル総研の調査「恋愛・結婚調査2021」によると、20~40代未婚男女のうち、恋人がいるのはわずか33.4%。大半は恋人がいない状態だ。さらに、恋人がいる中でも「結婚を意識している」のはわずか61.0%。掛け算をすると、未婚男女の2割程度しか、結婚へは向かっていない。

 日本人は、コロナ前から結婚をしないのだ。

コロナで出会えない人が続出

 そして、新型コロナウイルスが日本上陸。緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の繰り返しで、出会えるチャンスは激減した。以前「コロナ下で、婚活をしている男女が64%減少した」と書いた。マッチングアプリをダウンロードしようが、対面で出会えないのだからさもありなん、といったところだろう。

 実際に、コロナで婚活を諦めた女性から話を聞いた。

 「焦ってますね。だって29歳ですよ。コロナが来たときも焦ってましたけど、そのまま何もなく2歳年をとっちゃった。どうしよう、って。婚活しなきゃ~、とは思うんですけれども、じゃあどうやって? って思いますよね。でも周りはコロナでも結婚してて、ああ、動いてないの私だけなのかも、って」

 一方で、コロナ下で婚活している人もいるのでないだろうか。

 「確かにいますね。ただ、じゃあ気になる人に会うってなると『コロナなのにご飯しちゃうタイプの人なんだ……そんな人と結婚したくないな』って思っちゃう。だからメッセージはするんですけど、実際に会おうっていうところで萎えちゃうんです」

 彼女と似た経験を語ってくれる人は少なくない。出会いたいが、こんなご時世に出会いたがっている人を軽蔑してしまう。また、自分が「コロナ下でも出会っている人」として世間から責められたくないという思いも働く。

 その課題を解消しようと、マッチングアプリや結婚相談所も、オンラインデートを企画したり、ビデオ通話機能を搭載してきた。しかし、それでは現実のデートには敵わない。マッチングアプリの市場は課金で拡大する一方「実際に会っている、交際している」数は減少するというパラドックスがあるのだ。

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