むしろ結婚相手を「見つけにくく」している、婚活市場の「構造的な欠陥」

男女の「モノ化」の功罪

コロナ禍もあって、改めて婚活のツールとして見直されているマッチング・アプリ。しかし、マッチング・アプリの利用で出会いの機会が増えたのにもかかわらず、「結婚相手」を見つけるのは難しい。

【前編】『「女子大生の婚活」を通して見えた、マッチング・アプリの「致命的な問題点」』では、男性側が出会いの機会を増やそうとするショットガン・アプローチによって、女性側がイケメンを選び、減点法で評価していくという反作用を指摘した。

しかし分析すればするほど、婚活が難しくなってしまった根本的な原因は「婚活市場」という仕組み自体にあるように思われる。婚活を経営学の視点から論じた『婚活戦略』の著者でもある高橋勅徳氏が、以下で詳しく説明する。

恋愛スキルは婚活に役立つか?

内閣府・男女共同参画局が主催する「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」において、「恋愛チャンスに格差がある」として、その是正のために教育に「壁ドン・告白・プロポーズの練習」を組み込む提言がされていることが、話題になりました(https://www.businessinsider.jp/post-253000)。

この提言をまとめたのは、婚活研究でも優れた業績を残す小林盾教授です。小林先生の一連の書籍では、未婚化・晩婚化の原因として、異性と出会って付き合う経験の格差にあることが指摘されており、その「恋愛格差」をある種の恋愛スキルによって埋めていくという狙いが込められた、至極真面目なものだと考えられます。

しかしながら、婚活市場でのフィールドワークを経験した私としては、このような恋愛スキルの普及そのものが、逆説的に婚活を困難にしていく可能性すらある、と考えています。婚活市場における男性の恋愛スキルに基づく行動が、女性側からどう見えるのかを、前回と同じくSさんの卒業論文を読み解きつつ、考えていきたいと思います。

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