むしろ結婚相手を「見つけにくく」している、婚活市場の「構造的な欠陥」

見透かされている「共感のコミュニケーション」

拙著『婚活戦略』の第4章「婚活総合サービス企業の利用:商品化される私」においても書きましたが、結婚相談所に入会した際、男性会員は、女性会員との出会いを恋愛関係へと発展させていくために必要な会話講座を、必須として受講させられました。

この講座の内容を私なりにまとめておくと、「男性が考えるコミュニケーションとは、論理的かつ問題解決に向けて話し合うことであるのに対して、女性にとってのそれは経験や感情を「共感」することであり、その差を意識した会話をしないと良い関係を構築することは出来ない」というものでした。

結婚相談所でのセミナーに限らず、婚活のマニュアル本でも、シチュエーションや会話内容の解像度をどこまであげて説明しているかに差があるものの、男性側が女性に「共感」を示すことが重要であると強調している点は同じだと思います(この思考方法自体が、女性目線ではすでに駄目なのかもしれませんが)。

さて、マッチング・アプリを利用したり、婚活パーティーに参加したりして、婚活男性とのコミュニケーション経験を重ねるごとに、Sさんは2つの違和感を覚えることになります。

最初の違和感は、出会う男性のほとんどが、どこかで聞いたことのある、マニュアルに書いてありそうな「女ウケ」を狙ったコミュニケーションを試みていることに対して、でした。

(マッチング・アプリでの)メッセージのやりとり時点でも見受けられたことだが「女ウケを意識した発言」が多いという点である。例えばネイルである。以前友人男性に「俺たち男は本当にネイル興味ないよ」と言われたことがある。

またマイナビウーマンが2015年に行ったwebアンケートでは「ネイルをしていない女性」をより好む男性が76.3%いることが明らかになっており、むしろネイルをしていることはマイナスポイントとまで言える。

筆者は派手な見た目のネイルが好きであり、男性ウケから最も遠い位置付けにある。しかし多くの男性がネイルに関して褒めてくださり、またスイーツ好きをアピールする方も多くいた。

褒めてくださったり共通の好みを会話のトピックとしてくださったりすることは大変ありがたいしこのような捉え方をして恐縮だが、TwitterなどのSNSで「ネイルを褒めると女性が喜ぶ」等の恋愛アドバイスを何度も目にしたこともあり、多くの方に触れられることでかえって「女ウケ」を狙って発言されているように感じてしまった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です