むしろ結婚相手を「見つけにくく」している、婚活市場の「構造的な欠陥」

年収やステータスなどに言及して婚活市場における優位性と希少性をアピールしつつ、「この機会を逃せば次は無い」と伝えて機会損失への恐れを煽り、おそらくは性的関係の実現を目指して「次の段階に進むか否か」の二者択一を突きつけていく戦略といえるでしょう。

これは、女性側の「恋愛感情を抱けるか、じっくり関係を構築しながら見定めていきたい」、「他の気になる人にも逢ってみたい」という選択肢を会話によって奪い、「損得で考えれば自分を選ぶはず(べき)」という状況を作るという考え方に基づいているとも言えます。

Sさんに男性側が仕掛けたこの手の会話は、「優位性を提示し、選択の機会を奪ってしまえば、女性は機会損失を恐れて、目の前の利得を取りに行く=自分を選択する」という、ある意味で合理的な人間モデルに基づいていると言えるでしょう。

しかしながら、Sさんが「関係の発展を急いでいる」と否定的に感じているように、男性側の恋愛工学的発想に基づくコミュニケーションに対して、女子側が想定通りの意思決定をするとは限りません。

第一に、婚活市場に参加することのメリットは、男女ともに既存の人間関係のしがらみが無いところで、データベース化された異性のリストから「逢ってみたい人」と繰り返し出会える点にあります。

そこで、「関係をすすめる気がないなら、ここで終わり。自分の凄さがわかっていれば、ここで選ばなきゃ損だよ」と選択を迫る目の前の男性に「関係の発展を急いでいる」と違和感を感じれば、女性側にとって「じゃあ、もっといい人探しますね」と断ることもまた合理的な意思決定であると言えます。

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