選ぶのではなく“めぐり合う”、おせっかいに身を任せる15年目の婚活事情

自由さ・気軽さが増してきた婚活からの揺り戻し

「婚活」という言葉が世に出てきたのは、今からちょうど15年前のことだ。家族社会学者の山田昌弘氏と少子化ジャーナリストの白河桃子氏の共著『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書)によると、両氏が2007年11月に雑誌『AERA』で対談した際に生まれた言葉なのだという。

 婚活時代以前の1980年までは、同書は「『出会い』が自動的に設定されていた」と記している。

 事実上、職場は、総合職の男性と一般職の女性が出会う場として、企業がセッティングする集団見合いの場のようなものでした。さらに、そこで相手を得られなかった場合のセーフティネットとして、「お見合い」も存在していました。

 明治期の文献までさかのぼると、婚活に至る流れがより見えてくる。女性の地位向上に尽くした巌本善治の『婚姻論』(『明治文学全集32 女学雑誌・文学界集』筑摩書房)だ。家柄のよい男性との縁談を持ち込んだ父母に対し、娘が涙ながらに抵抗する様子が描かれている。

 膝下(しっか)に蹲踞し、泣きて訴たへて云く、妾(わら)わは、身分ある人を好まず、身分なき人を要(もと)む、身分は、妾わ共に働らきて之を造らんことを欲す。(中略)但だ其の性格氣質、品徳行状に至りては、頗(すこ)ぶる擇(えら)む所ろ多し。身分、財産は、時と共に變ずれど、其人となりは、俄かに變ゆ可らず。妾わは、其人に婚せんことを欲す。

 縛られた結婚からの解放を求めた時代から、職場を中心とした限定的なエリアの中での自由な結婚へ。その限定は極めて弱まっていき、積極的で主体的な活動が求められる「婚活時代」へ。さらに自由度は増し続け、極限まで自由で気軽なマッチングアプリという世界も登場してきた。

 そうした大きな流れから見ると、自由に「選ぶ」ではなく、おぜん立てされたあるまとまりの中で「めぐり合う」ことを重視するコミュニティ婚活という形は、その揺り戻しの動きとも位置づけられるのではないか。

 コミュニティ婚活株式会社の取締役として松浦さんとともに活動する一力万希子さんは、こう話す。

「カジュアルな出会いはカジュアルに終わりがちです。インスタントを求めてきた人たちが、一期一会の世界に回帰してきているのではないかと感じます」

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