三重県桑名市と「ペアーズ」が連携、自治体の婚活支援に変化

少子高齢化や人口流出に悩む地方自治体。課題解消の一手で、新たな動きが出始めた。マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」を運営するエウレカ(東京・港)と三重県桑名市が連携協定を締結。エウレカは自治体と連携することでマッチングアプリに対する安心感の向上と、新規顧客の創出を狙う。

 11月25日、三重県の桑名市役所でエウレカ(東京・港)と桑名市が連携協定の締結式を開いた。エウレカは米ナスダック市場に上場するマッチグループのグループ会社で、日本でマッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」を運営する企業だ。同社はこれまで自治体のイベントで講演などをすることはあったが、自治体との本格的な連携は初という。石橋準也代表取締役CEO(最高経営責任者)は「自治体とともに、少子化・未婚化に対して実効性のある取り組みをしていきたい」と意気込みを述べた。

エウレカの石橋準也代表取締役CEO(左)と、桑名市の伊藤徳宇市長

 取り組みの第1弾として発表したのが、エウレカと桑名市が共同で開催する婚活イベントだ。2023年5月ごろに開催する予定で、希望する桑名市民を対象にペアーズの上手な使い方をはじめ、巻き込まれかねない詐欺や事件への注意点など、ペアーズを安心・安全に活用するコツを伝授する。参加者には有料会員の費用1カ月分程度のデジタルギフトコードを配り、実際にアプリを使ってもらう。ギフトコードの費用はエウレカが全額負担する。

 講師はペアーズコンシェルジュと呼ばれるエウレカの社員が務め、プロフィルの書き方やチャットのポイントなどを中心に教えるという。これまでマッチングアプリに親しんでこなかった人でも迷わずに使えるようにすることが狙いだ。ほかの具体的な施策は未定だが、飲食業界など地元企業にも協力してもらい、マッチング後のデート支援策なども構想中だという。

結婚の2割はアプリ経由の時代

 今回の連携協定、きっかけは22年の夏に桑名市がエウレカに声をかけたことから始まった。市の課題である人口減少と少子化への対策の一環だった。

 もともと桑名市は名古屋市のベッドタウンとして人口を増やしてきた。しかし、15年度をピークに人口は減少し始めた。新型コロナウイルス禍もあり、21年には出生数も843人と直近10年で3割も減少した。未婚化・晩婚化も進んでおり、20年には25~29歳の男性の7割、女性の6割が未婚という状況だ。

 ただ、桑名市もこれまで手をこまぬいていたわけではない。三重県主導の事業に協力して婚活パーティーを桑名市で開くなどしてきた。しかし、婚活パーティーは1回で数十人を集めるのが精いっぱい。参加したくても日程が合わない人も出て、効果的な一手にはならなかった。桑名市役所政策創造課の水野雅文氏は「コロナ禍もあってなかなか多人数を集められず、広報も不十分だった」と振り返る。

 そうした中で桑名市が目を付けたのがマッチングアプリだった。明治安田生命保険の調査では22年に結婚した人の約2割が、出会いのきっかけをマッチングアプリと回答している。10年代では10%以下しか占めておらず、婚活市場での急速な台頭ぶりが分かる。ペアーズも12年にサービスを開始して以降、累計登録ユーザーは2000万を超え、直近3年で約2倍に成長している。

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