三重県桑名市と「ペアーズ」が連携、自治体の婚活支援に変化

マッチングアプリの開拓余地は大きい

 自治体との連携はエウレカにもメリットがある。1つは新規顧客の創出だ。マッチングアプリを運営するDiverse(ダイバース、東京・千代田)が21年1月に20~30代の未婚で子供のいない男女を対象に実施した調査では、恋人をつくるための行動としてマッチングアプリを選択している割合は25.8%と高かったものの、トップの友人からの紹介(27.4%)や恋活・婚活パーティーへの参加が16.2%と、マッチングアプリを選ばない層もまだ多い実態が明らかになった。

ペアーズの累計登録ユーザーは2000万を超えた

 ペアーズの累計登録者が順調に伸びているとはいえ、開拓の余地はまだ大きい。「自治体との連携を通して、まだマッチングアプリを使ったことのない層にも利用を広げていきたい」と石橋CEOも力を込める。

 自治体と連携することでペアーズの安心感のアピールをする狙いもある。石橋氏も「サービスの信頼性向上にもつながれば」と話す。

 マッチングアプリに積極的な人が増えている一方で、近年はアプリを通して出会った人から詐欺や性的な被害に遭う事例も報道され、不安に思っている人が少なくないのも事実。エウレカでは20年6月に政府渉外・公共政策部を設置し、国会議員のマッチングアプリに関する勉強会へ出席するなどして、安全な業界づくりにも注力してきた。

課題は広報、96%は「施策を知らない」

 課題は広報だ。市が事前にLINEで実施したアンケートでは、これまで行政が行ってきた出会いに関するサービスについて、約96%は知らないと回答していた。ホームページや広報誌、SNS(交流サイト)での宣伝だけでは情報が広まりにくい。今回は市のSNSでの宣伝に加えて、ペアーズで居住地を三重県に設定している人へのプッシュ通知なども検討しているという。しかし、アプリを使ったことがない人への広報は課題として残る。

 それでも桑名市の期待は大きい。伊藤徳宇市長は「マッチングアプリの認知度は若年層を中心に非常に高い。若者が出会える環境をつくっていきたい」と期待を込める。

 これまで自治体の婚活支援は婚活パーティーや街コンの開催が中心だったが、桑名市のように苦戦している自治体も多い。はたしてマッチングアプリならうまくいくのか。エウレカは「将来的に他の自治体とも連携していきたい」とするが、今回の取り組みが今後の試金石になることは間違いない。

引用元:https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00356/113000036/

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