35歳・大学教授が「マッチングアプリ」を使ってわかった、婚活市場の「残酷な現実」

心配してメッセージを送ってくれるTさんと、この前に出会ったパパ活女子は「私と出会う目的からして違う」のは理解している。

しかしどうにも、送ってくれたメッセージには「裏」があるのではないかと気になってしまうのだ。

「不況の中で経済的に生き残ることが優先される競争社会になったいま、生きていくには結婚しか無いという女性たちにとって、心の純真さは性的無垢さ同様に女性の価値を保障するものでは無くなっている。このような風潮の中で、婚活の意味はもはや『女性が、安定して高収入を稼ぐ男性を捕まえる活動』の方に定着しつつある」(関口文乃(2010)「婚活ブームの二つの波:ロマンティック・ラブの終焉」山田昌弘(編)『婚活現象の社会学』東洋経済新報社,pp.155-156)

婚活を始めるにあたって読んだ社会学者による婚活研究の一節が脳内にフラッシュバックする。

女性に対して「心の純真さ」を期待していたつもりはなかったが「相手は真剣な交際を目指して、向き合ってくれている」という、ある種の思い込みとも言えるような「前提」で私は取り組んでいたのかもしれない。

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そもそも、アプリ婚活を始めるにあたって「自分の年収と職業なら、きっと良い結婚相手を見つけられるのでは?」と考え、これまで学んできた理論を駆使してきた自分自身が、そもそも「純真さ」を失ってしまったのだろうか。

しかし、「アプリ婚活を通じて女性の純真さが失われた」というのもどこか違う気がしている。

婚活が「高収入を稼ぐ男性を捕まえる活動」として定着したのは、見方を変えれば男性が財力を武器に女性の若さと美貌を買おうとしてきたからだろう。

「性の商品化」と言われるものだ。女性が「美貌と若さをレバレッジに最大限の利潤を獲得しようとする」ことと、男性が「自らの財力を駆使して、マッチングアプリで恋人・結婚相手探し以外の性的欲求を満たそうとする」ことは、表裏一体の出来事なのだ。

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