結婚を決める瞬間は? 婚活をこじらせる「ピンときた・こない」にある男女の“傲慢さと善良さ”

『傲慢と善良』に、こんなシーンがある。真実との結婚に踏み切れない架に、古いつき合いの女友だちが、婚活で出会ったなら「一年以内に結婚してあげるのが礼儀」だと手厳しく忠告するのだ。

「彼女は、結婚のことが頭にあったと思います。僕に結婚の意思がないなら、長く引っ張るのも彼女に悪いなという気持ちはあって、今回も長くて1年ぐらいだろうと思っていたんです。ところが、つき合いはじめて半年が経ったとき、異動の話が舞い込んできた。本社に戻るのかと思ったら、なんと海外赴任でした」

 リョウタさんにとっては、チャンスだった。行かない選択肢はない。けれど、そうすると恋人のことはどうすればいいのか。

「遠距離恋愛という選択肢はありませんでした。過去に経験したことがあるんですが、つらい思い出しかなくて。でもじゃあ、これを機に結婚するかというと……なんとなく踏み切れない。というのも、彼女のことは好きだけど、身を焦がすようなアツい気持ちはまるでなかったんですね。若いころにはそんな恋愛もあったので、僕の年齢のせいかもしれないけど。この人がいないと生きていけない!とは思えませんでした」

 リョウタさんがその後どんな選択をしたかについては後述し、ここで「これ以上の人はいない」と思って結婚を決断した男性のエピソードを紹介する。

 東京在住で現在37歳のタクオさんは、今年で結婚10年目を迎える。出会ったときの妻は、22歳の大学生だった。当時のタクオさんは結婚は35歳で、と思っていたため、彼女との結婚は考えていなかった。過去には、結婚にまつわる苦い思い出もある。

「学生時代からつき合っていた女性がいたのですが、本人からもその母親からも結婚のプレッシャーをかけられていたんです。3人で食事して彼女が席をはずしたときに、お母さんが『いつ結婚するの?』って。親が口を出すことじゃないだろう、と思っていましたね」

 娘が心配なのはわかるんですけど、とタクオさんは言い添える。『傲慢と善良』の真実は、婚活アプリに登録する以前は、お見合い相談所に登録していた。その相談所では、親がかりで婚活に臨む人も少なくないという。架はそのことを知って少なからず驚いた。結婚は本人同士のものではないのか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です