結婚しない人が抱える“二つの孤立” 近代社会で未婚者が生きにくくなった理由とは

※写真はイメージです(Getty Images)

 戦後の近代社会になり、変化した日本人の結婚観。現在では、結婚できない人も増えた。中央大学教授で家族社会学者の山田昌弘氏は、未婚者にとって日本社会は生きづらいところもあるいう。山田氏の著書『結婚不要社会』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し紹介する。

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近代的結婚の「経済的」特徴

 近代社会の最大の特徴は、「個人化」と言うことができます。いわゆる伝統的規範が緩んで、社会的生活が個人の選択にゆだねられる部分が増えるのが近代社会の特徴なのです。

 念のため断っておきますが、ここで言う個人化というのは、個人のわがままという意味ではありません。そうではなく、「個人にとって選択肢ができた」という意味です。つまり近代社会になって、どういう人と結婚するかという結婚相手に関する選択肢が生まれたし、結婚しないという選択肢も出てきたのです。

 では、個人化によって社会はどのように変わるのでしょうか。

 結婚にかかわる変化では、大きな二つの点にまとめることができます。

 まず社会経済的に言えば、近代社会では、将来にわたる生活が自動的に保証されない社会が出現します。

 前近代社会の男性(特に長男)は、親の仕事を継ぐ選択しかありません。逆に言えばこれは、仕事が生涯において保証されていたということでもあります。女性は、自分の父親と似たような仕事のイエに結婚して入るので、自分の母親と似たような生活をしながら一生を送るというのが前近代社会でした。

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